2015年 活動報告
待機児童ゼロへ
3年間で18,000人解消を目指す 〜保育士確保がカギ〜
県は18,000人の待機児童を解消するためには、保育士が2,300人必要と試算している。県内には保育士の資格を持っているが保育に携わっていない潜在保育士が1万人以上いるといわれている。なぜ保育に関っていないのか。
理由その1:給与が低い、正規雇用ではないこと。保育所を運営するための国の「保育単価」は就職して7年目の保育士を想定して算出している。ベテランが多いほど保育所の経営は苦しくなる。結果として賃金の低い非正規を増やし、バランスをとらざるを得ない。
理由その2:早朝、休日、延長保育等と保育士自身の妊娠、出産、子育てなどとの両立の困難さ。保育士が産休明けに我が子を保育所に入れられず待機している実態もある。
沖縄県は国に対し「保育単価」を引き上げるよう要請するとともに県独自に待機児童支援基金等を活用し対策を講じているが離職に歯止めがかかっていないのが現状である。
私の視点:我が国は、OECD 諸国において就学前教育への支出は、ワーストである。人材育成に最も投資効果が高いのは就学前教育である、という研究結果を踏まえ諸外国では就学前教育を無償化して力を入れている。我が国は「社会保障と税の一体改革」で消費税は上げたが「保育単価」引き上げの議論はない。
一方、平成27年度から子ども・子育て新制度をスタートさせ保育士の処遇改善策を打ち出しているが、本質的な改革になっていない。
国は、待機児童解消という保育の「量」を優先するあまり「質」を置き去りにしている。「子どもたちのために働きたい」という理想を持って保育士になった人々が保育現場から去って行き戻ってこない。保育士が希望をもって働ける制度の見直しが急務である。そのことが子どもの育ちを保障し最善の利益へと繋がるのである。
「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」制定、施行
条例の目的
沖縄県はこれまで埋立事業を数多く行ってきたが、埋立土砂を県外から搬入した経験はない。沖縄は島嶼県であるため生物の多様性が豊かな地域である。本県の貴重な環境を外来生物から守るため、水際で侵入を防止するための条例である。(国は国外から外来生物が侵入しないよう外来生物法で規制している。しかし国内における外来生物の侵入防止策は各都道府県で行うよう求めている。)
条例の内容
公有水面埋立で投入される用材すべてを対象とし、特定外来生物が付着・混入する用材の搬入を防ぐ。埋立事業者は搬入の90日前に住所・氏名、用材の種類や用途、数量、外来生物が混入していない旨の確認、防除策等を届ける。外来生物混入の恐れがある場合、県が立ち入り調査を実施し、付着・混入があれば防除策の実施、さらに搬入中止を勧告できる。
chart
待望の県立八重山病院改築へ
県立八重山病院の位置づけ
八重山2次医療圏における救急医療、周産期医療、小児医療等の急性期医療及び精神科医療を担う。また僻地医療拠点病院として周辺離島等の医療支援、第2種感染症指定医療機関、災害拠点病院としての機能など、地域医療の拠点としての役割を担う。
入札不調つづく
入札不調の主な要因は人手不足である。業者は、本島からの出張費が予算に反映されなければ厳しいとしている。県は2017年の開院への影響は今のところないとしている。
沖縄県の食糧自給率はいくら?
本県の食糧自給率はカロリーベースで27%、生産額ベースでは51%である。カロリーベースでの27%からサトウキビを差し引くと6%である。サトウキビは嗜好品で食事に入れるものではない。この状況は10年も前から続いている。
翁長知事に「この数字をどのようにお考えか」認識を伺ったところ、「こんなに差があるとは今初めて知った。サトウキビの基幹産業としての大きさと農業全体のバランス、そういうこと等が沖縄ではまだまだなされていないということがこの数字で感じた。自給率も含め観光客1,000万人とか地産地消も含めてどのような形にするのか、アジアのダイナミズムの中で沖縄の生鮮食品も含め、豚肉や肉用牛が本当に産業として成り立つのか、というようなことも含め今の数字の中に大変深い思いを抱いたところですので、是非いびつな状況を何とか改善できるように頑張っていきたい。」との答弁であった。
私の視点:食の安全保障は重要である。危機管理、地産地消、島嶼県ゆえの輸送費による物価高、観光客のニーズ等様々な観点から自給率アップを抜本的に図る必要がある。以前から私は品目別に数値目標を立て拠点産地をつくり、どの地域でいつまでにどれくらい自給率を上げていくか明確にすることが必要ではないかと提案している。
chart
知事国連演説
Q国連人権理事会における知事演説の意義について
知事:沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を世界中から関心を持って見ていただくよう申し上げた。各国の代表に沖縄の置かれている状況を伝えることができたことは大変有意義であったと考えている。欧米メディア各社が演説内容を取り上げ報道し、国内外にも情報発信できたと考えている。
私の視点:知事演説に対する日本政府の反論は、2つの点を国際社会に露呈したと考える。一点目は、基地問題を人権問題と捉えていないこと。2点目に、基地問題(人権問題)を経済振興で片付けようと考えていることである。国際社会に人権意識のない国であることを露呈した、恥ずべき国家である。
米軍基地と沖縄経済
Q 既返還基地跡地(那覇新都心地区、小禄金城地区、桑江・北前地区)の合計で直接経済効果、雇用者数はどうか?返還前の何倍か?
chart
Q 返還予定跡地(キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧湊補給地区、那覇港湾施設)の直接経済効果、雇用者数の見込みはどうか?それぞれ返還前の何倍か?
chart
Q 知事は「米軍基地は沖縄経済の最大の阻害要因である」と述べている。阻害要因にはどのようなものがあるか?
企画部長:交通問題(交通渋滞や遠回り等)、制限水域による漁業問題等が挙げられる。
私の視点:経済発展の阻害要因を明らかにし国内外に発信する必要があること。さらに本県が基地から派生する不利益、基地があるが故の不利益を数値化、可視化し政府との交渉等に活かすことが必要と考える。